今年は夏の暑さもすごかったですが、今年、2018年は台風がものすごく多かったと思いませんか?
最近日本に接近した台風12号は日本をかするくらいなのかなと思ったら、一回転して戻ってきたりと変な進路を進んでいましたし、相当な被害を出していました。
そこで知っておきたいのが、住んでいる賃貸物件が台風の被害にあったらどうすればいいのでしょう。
台風等の自然災害によって賃貸物件、および家財道具に被害が発生した際、修繕費用は大家さん負担になるのか、それとも自分で負担しなければならないのか、あなたはご存知ですか?
自然災害は頻繁に起こるものではないので、知らない方がほとんどではないかと思います。
後ほど詳しく解説しますが、これは借主責任か貸主責任かによって対処が異なります。
いざ、自然災害の被害に遭ったときに困らないよう、正しい対処をするための基本的な知識をご紹介します。
知らずに間違った行動をとるとあなたが損をしてしまったり、賃貸トラブルになったりする可能性もあるので、事前に正しい知識をもっておきましょう。
目次
1.台風などの自然災害で物件に被害が生じたら修繕の責任は誰にあるのでしょう?
1-1.借主に過失がない場合
物件の修繕については、民法第606条第1項では以下のように定められています。
「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」
台風などの自然災害によって窓ガラスが割れるなどの被害が発生した場合、借主に過失がなければ修繕費用は基本的に貸主、つまり大家さん負担になります。
ただし、家財道具等の借主の所有物の損害については借主負担となるのが一般的です。
地震で家具が倒れてフローリングが傷ついた場合、フローリングの修繕費は基本的には貸主負担となり、家具の修理費は借主負担となるということです。
破損時に申告せず、退去時に伝えた場合、その傷が地震に起因するかという証拠を示しにくいので、原状回復費として敷金から修繕費を差し引かれる場合があります。
それでは、あなたが損をしてしまいます。
地震による物件の被害はトラブルになるケースが多く、借主の過失でない場合は基本的に貸主負担となりますので、破損が生じたらまず貸主に相談しましょう。
できるだけ早い対応が肝心です。
1-2.借主に過失がある場合
ただし、以下のように定められている通り、借主の責任によって損害が生じた場合、借主の負担になります。
置いてはいけない場所に危険物を置いている場合などは、借主が負うべき善管注意義務を怠った場合はこれに該当する可能性があります。
「借主の責に帰すべき事由(故意又は過失)によって生じた場合、借主に損害賠償義務が生じる」
参照:賃貸借契約の契約、留意点について – 国土交通省
・台風が来ているのに雨戸を閉めなかった
・ベランダに山積みにしていた物が倒れて窓ガラスが割れた
といった場合は借主の過失となりますので、貸主に修繕費を請求しても断られる可能性が高いです。
1-3.建物に欠陥や過失がある場合
たとえば物件自体に欠陥があり、それが原因で所有物が被害に遭った場合、貸主に責任が生じます。
他にも老朽化や不具合によって塀が倒れそうになっていて、借主が修繕を依頼しているのになかなか対応してくれず、結果、台風で倒壊して被害に遭った場合なども貸主の責任となります。
争点は貸主の過失であるかどうかとなり、欠陥があるのに放置していた場合は、物件だけでなく所有物におよんだ被害も貸主に責任がありますので損害を請求することができます。
ただ、欠陥や過失であるかどうかは判断しづらいケースもあります。
どこまで貸主責任かを線引きしにくいケースもあるので、最終的には貸主と借主との話し合いになることが多いです。
修繕を放置された場合は、修繕依頼をした回数や日付を控えたり、写真で撮影しておくなど、証拠を残しておいた方がいいかもしれません。
2.台風被害を防ぐためにやっておきたいこととは?
2-1.雨戸を閉める
賃貸マンションは雨戸が付いていない物件が多いですが、雨戸が付いている場合は台風が来る前に閉めておくとこが必要です。
普段使用しないので、雨戸がついていることを忘れてしまい、閉めなかったなんてのは危険です。
先ほども述べたように、雨戸が付いているのに閉めなかった場合、借主の過失となって修繕費を請求できない可能性が出てきます。
雨戸付きの物件にお住まいの方は必ず閉めておいてくださいね。
2-2.ベランダに風で飛ばされるような物を置かない
ベランダに風で飛ばされるような物を置いておくと、強風で飛ばされて窓ガラスが割れてしまう恐れがあります。
また、ベランダの外に飛んでいって通行人に当たってケガをさせたり、他の家の窓ガラス等を破損したりする可能性も考えられなくはありません。
こんな重さのあるもの飛ばないだろうと思っていたら飛ばされている場合も十分あるのです。
また、ベランダに物を山積みにすると様々な面で危険です。
隣の部屋との避難通路を塞いであなた自身が逃げられない可能性もありますし、隣の部屋の住人がそのせいで逃げられなかったなんてことになれば大ごとです。
できるだけ物は置かないようにしましょう。
3.被害が遭ったときの対応
3-1.早めに大家さんか管理会社に連絡する
もし台風などの自然災害で賃貸物件が被害に遭ったら、早めに大家さんか管理会社に連絡をしましょう。
しばらく経ってから伝えたり、または退去時に伝えた場合、本当に自然災害による被害であるのか、と疑われて修繕費を支払わないと言われてしまう恐れがあります。
そうしたトラブルを防ぐために、被害に遭ったらすぐに伝えましょう。
3-2.あとでトラブルにならないよう被害状況を記録しておく
後でトラブルにならないために、自然災害による被害をうけた場所をを写真で撮影するなど証拠を記録しておきましょう。
自然災害の被害に遭うことは少ないため、修繕費を請求することで頭がいっぱいになってしまいますが、そういう時こそ先のことも考えて被害状況を記録しておくことがおすすめです。
入居時も同じく、すでに傷がある、汚れがある場合は写真を撮影して証拠として残しておくと、退去時のトラブルを回避することができます。
先にもお話ししたように、借主の過失でない場合、修繕費は貸主負担となりますので、無用なトラブルを避けるためにも証拠を残しておいたほうが無難でしょう。
日本は以前より台風や地震が多い国ですので、いつどこで被害に遭うかわかりません。
自然災害の被害に誰でも遭遇してしまう可能性がありますので、自分だけは被害に遭わないと思い込まずに、もしものときにどう行動すればいいのか、事前に知識を持ち、把握しておくことが大事です。
基本的には自然災害による物件の被害の修繕費は貸主負担となりますので、被害に遭ったら早めに大家さんか管理会社に連絡してください。
特に地震によるフローリングや壁紙の破損は退去時の原状回復費をめぐってトラブルになりやすいので、言い出しにくいかもしれませんが、被害が発生したときに必ず伝えるようにしましょう。
無駄なトラブルを未然に防ぐことで、最悪の場合、貸主負担であるべき修繕を請求されるなんて事も回避できるでしょう。
知識がないと思われ、請求をされる悪質な場合もありますので、「基本的には貸主負担である」ということは覚えておきましょう。