LINE友達追加でお部屋を紹介してもらおう!(無料)

引越しや賃貸物件の部屋にまつわる怖い話というのはたくさんあります。

オカルト的なもの、霊を信じない人というのは「何をバカげたことを…」と鼻で笑うかもしれませんが、賃貸マンションやアパートで実際に怖い体験をした方というのは非常に多いものです。

元々の土地に何かあった、その物件で自殺や事故・事件があったなどなど、怖い話が生まれる背景は数あれど、ここで語られるのは、なぜそれが、そこに棲みついているのかわからないお話です。

これは、テレビ関係の仕事をしている藤本功さん(仮名/37歳/東京都)が体験した不思議なお話です。

 

1.やせ細る友人

 

1-1.久しぶりに会った友人は幸せそうだった

数年前、私は多忙な自分の仕事の合間を見つけて、3年ぶりになる友人のAとバーで飲んでいました。

彼は、商社に勤めていて私の大学時代からの友人でした。

なんでもない話をしながら酒を飲んでいると、彼はこんな話をしはじめたのです。

「最近新居に引っ越したんだけど、その家がすごく落ち着くマンションでさ、仕事が終わるとすぐに帰りたくなるんだよな」

「へぇ、そんなだ、どういう風の吹き回しだよ。珍しいことだな」

独身の彼は昔から毎日のように飲み歩き、まず家に居着いたことがない男でした。

本当に家に帰るのは、寝に帰るような感じ。そんなことを言い出すということ自体が不思議だったのです。

しかし、お互いに歳を食ったから落ち着いたのだろうと思って、私はその話を流しました。

後日、別の友人Kから電話があり、なんとなくAの話になったんです。

なんでも、Aは別の友人にも今住んでいる家の居心地の自慢をはじめたらしく、非常に幸せそうだと話していました。

 

1-2.再び会ったAの姿に驚く

それは本当に偶然でした。行きつけの居酒屋で番組のスタッフたちと打ち上げをし、終電に乗ろうと最寄り駅に向かっていると、改札口あたりにAの姿があったんです。

スーツ姿でしたが、その姿は数ヵ月前にあったときとは違い、とても痩せていて、頬などの影が目立つ顔つきになっていました。

「おい、A!お前どうしたんだよ、なんだか痩せちゃって」

「なんだ、びっくりした。藤本じゃないか。そうかぁ、普段通りちゃんと飯は食っているんだけどな」

「なんでこんな駅に?ああそうか、おまえ、○○駅に引っ越したんだったな」

「うん。彼女もできたし、早く家に帰りたかったんだけど、仕事がなかなか終わらなくてな」

彼女ができたから、早く家に帰らないと…。ということは、同棲でもはじめたのかとそのときは思いました。

しかし、それにしてもちょっと痩せすぎたA。

一番に考えたのは、病気のことです。

最近では若くてもガンになって当たり前。

それほど病的な痩せ方だったので、私は早く精密検査を受けるようにと助言して別れました。

 

2.会社に出社しなくなったA

 

2-1.共通の友人からの電話でAの元へ

それから数週間、私の元へKから電話が入りました。どうもAの様子がおかしいというのです。

「どういうことだよ?」

「だから、すごく痩せてるし、会社へ行く以外表にも出てこないって、Aのお母さんが心配しているんだよ。あいつの実家ってウチの近所だから、そう言われたんだけどな」

「それじゃその引越した家にちょっと行ってみるか?」

「ああ、そうしてくれると助かる」

私とKは待ち合わせをして、早速Aが引越した新居にむかいました。

その新居はごく普通の5階建ての都心のマンションで、Aが住むのは2階の角部屋。

しかし、その部屋の前で私とKはなんだかただならぬものを感じたのです。

全身に鳥肌が立つというのか、ドアの前でも気味が悪い。

恐る恐る、私はインターフォンのボタンを押しました。

 

2-2.そこに彼女がいる

ると、中からげっそりと痩せ、目だけをギラギラと光らせたAが出てきました。

「おお、どうしたんだよ…」

「どうしたじゃないよ、おまえ。みんな心配してるぞ、会社で仕事する以外まったく外に出てないっていうじゃないか」

「だってほら、彼女が家にいるから2人の時間を大切にしたいんだよ」

「中にいるのか?真っ暗じゃないか」

「いるよ。まぁ入れよ」

ちょっと普通じゃない。

Aの顔つきは本当に普通じゃないんです。

少し考え、Kと一緒に真っ暗な部屋の中に踏み込んでいきました。

饐えた臭いがして、足の踏み場もないほど、ピザの箱やケータリングの容器、コンビニのビニール袋が散乱しています。

中はまるでごみ屋敷。

どんな女と同棲しているんだ、と私は少し腹が立ちました。

「どこに彼女がいるんだよ」

「そこにいるよ」

リビングの洋服タンスを指さすA。

鬱にでもなったのか…とKと顔を見合わせ、何も言わずにカーテンを開け放ち、部屋の片づけをはじめました。

普通じゃない。これは親御さんに伝えておかなければいけない。病院に連れて行かなければ…。

一通り片づけを済ませ、Aの母親へ連絡を入れました。

病院に連れて行くように託け、Kと私は口数少なくその部屋を後にすることに…。

しかし、この次の日からAは会社にもいかなくなったのでした。

 

3.隙間に…

 

3-1.Aの親と一緒にマンションへ

なんと、私たちが自宅を訪れた日からAはまったく会社へも顔を出さなくなったのでした。

急遽Aの親と私とKはファミレスに集合し、今後のAをどうするかを相談しました。

母「息子はどうなってしまったんでしょうか?」

私「おそらくストレスとか何かが原因でうつ病を発症したのではないでしょうか」

K「様子がちょっとおかしかったんですよ、その前は幸せそうにしていたんですが…」

母「あの子、あの家に引っ越してからちょっと様子が変わってしまったんですよ。いい立地のところに安い家賃でマンションが見つかったと喜んでいたんですけどね」

私「そうなんですか?」

K「とりあえず、実家に連れ帰ってもらえませんか、お母さん」

母「ええ、そうします」

私「彼女の話って聞いたことありますか?会ったこととかは?」

母「ええ、いるとは聞いたことはあるんですが、声も聞いたことがないですね」

これはおかしい、となったので、Aのお母さんを連れ立って、再びAのマンションへ足を運ぶことにしました。

このままでは、ダメになっていくことは目に見えています。

 

3-2.本当にいる…

不穏な空気が漂う部屋の前で再びインターフォンのボタンを押すと、ガリガリに痩せたAが姿を現し、震える声で「よう…」と返事をしました。

「おまえ、どうした!会社も行ってないし、今日はお母さんを連れてきたから!」

「ふうん…」

「中に入るぞ」

「彼女がいるから静かにしてくれ」という声を振り切り、中へと踏み込んだ私。

「どこに彼女がいるんだよ!」

「だから、そこ…」

「いないじゃないか!どうしちゃったんだよ、おまえ!」

「そこだよ、タンスの隙間…」

「何ぃ?!」

私は苛立ちながら、タンスの隙間をじっと覗き込みました。

すると…

いたんです!

人が入れるはずもない洋服タンスと壁の隙間から真っ赤な女の目がこちらを睨みつけていました。

すると、隙間から真っ赤なマニキュアをした女の指がこちらに伸びてきます。

震える私の体。

背筋に寒気が駆け上がってきます。

うわぅわぁぁぁ~!

「ギャアアアアアアァァァ~!」

叫び声をあげる私にKが駆け寄ってきました。

「K!見るなぁぁ!絶対に見るな!Aを外へ連れていけ!ここにいちゃダメだ!」

必死になって、私はAの体を外へと引きずり出し、マンションを出ました。

Aはそれからは実家へと戻り、事なきを得たのですが、あの女はおそらくAに憑りついていたのだと思います。

後日、藤本さんは知ったのですが、その部屋では数年前に殺人があったとのこと。

被害者は女性で、殺された後にAの部屋のリビングにあった備え付けの洋服タンスの中に押し込まれていたそうです。

そう、あのマンションは事故物件

家賃は同じエリアの同じくらいの間取りのマンションの半額だったそうです。